惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~

店員を遮り、森くんはさっさと注文を済ませた。


「ここのアボカドバーガーがうまいって聞いてさ」


真っ白な歯を見せて爽やかに笑う。同期で入社した十二名の中でリーダー的存在の森くんは、同期の私たちはもちろんのこと、社内では先輩後輩、男女問わずに慕われている。

琴子の隣に座った森くんは、「うまいか?」と興味津々に私たちの顔を見た。そして、私たちの間に流れる不可思議な空気に気づく。


「……あ、俺、邪魔だった? なんか大事な話?」
「ううん、全然。大丈夫だよ」


笑顔を浮かべて慌てて誤魔化すと、琴子が「香奈がね」と今にも話し始めそうになるから、急いで「琴子」と引き留める。

当然ながら森くんはキョトンとして眼鏡の奥の目を白黒させ、解せない表情で私を見つめた。


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