しふぉん・けーき
涙の嗅覚は犬よりも優れている。

一つ匂いを覚えると、地球1周の居場所を瞬時に探し当てることができるのだ。

「涙。嗅げ」

と、学校からなつきのノートを涙の鼻に近づける。

そして、涙はしばらく周りの景色にクンクンと匂いを嗅いだ。

「わかったよ。
ここから車で40分位のところにいる・・・
なんだか、豪華な部屋にいる・・・
けど、楢井さんの涙の匂いがする―――」

なつきの涙の匂い。

それは、なつきが泣いているってことだ。

「いまから、そいつの所へ行く。
今日から3日間は戻らない。
学校とみんなには、急用だと伝えておけ」

「え・・・!?
一人で乗り込むつもりなんか!?」

「そうだ。
おそらく、奴はなつきを間違えたと気づいた瞬間、なつきを人質にして俺を待つはずだ。
あいつも俺も考えていることは同じなんだよ・・・!!」

俺は至急車の手配をし、早急にある衣装に着替えた。
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