しふぉん・けーき
私と真君は、そのまま大さんのお店に立ち寄った。

「こんにちは!」

「お嬢~!!今までどこに行っていたんだ!?」

「あはは・・・ちょっと・・・」

と曖昧に答えていると―――

「大~、いつもの~」

という真君のオーダーが飛ぶ。

「ったく・・・。
いつからお前はこんな人使いが荒くなったんだよ。
自分で作れ!!」

「え~!?ヤダよ!!
僕、料理なんてできないもん!!
お菓子作りなんてもっての他だよ!!」

と真君が反発する。

「え!?そうなの!?」

私は思わず驚きの声を上げてしまった。

「そうだよ~?
あれ?なっちゃん。知らなかったっけ?」

「うん」

「あ、そうだった?
僕ねぇ、料理だけは無理。だからね、いつもなっちゃんに晩御飯とお弁当を作ってもらってたでしょ~?」

と自慢げな真君。

それ、自慢気に喋る内容ではない。

「まだ、あのときからたかっているのか!?」

と大さんに頭を叩かれる。

「じゃあ、簡単なものから教えようか?」

「え~・・・やめた方がいいと思うよ~。
だって僕、包丁も握ったことなんてないもん・・・」

うるっとした瞳でこちらを見上げる真君。

う、上目遣い・・・!!

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