拾い恋(もの)は、偶然か?
憧れの人

噂の上司





恋に落ちる、とよく言うけれど、私の場合それは当てはまらない。




「俺と、付き合ってほしい。」

「へ?」



恋焦がれている人がいる。



「だから、俺の恋人になってほしいんだ。」

「……はぁ。」



その人は、自分の勤める会社の御曹司で、帰国子女。生まれも育ちも良いいわゆる有望株だ。次期社長と噂されるその人は、私が所属する経理課の部長をしている。


私はというと、愛想も大してよくもない、普通の女子社員。有能でもドジッ子でもなく、いわゆるモテの特技は持ち合わせていない、普通の。



今私を見下ろして笑っている人は、私が恋に落ちた人。


この会社の御曹司で、経理課の部長で、帰国子女で、生まれが良くて……



「それは、どっちかな?OK?それともNO?」

「……。」



今付き合っている女性は秘書課1番の美女だという、なんでも持っている、そんな人。



「あの、司馬(しば)部長?」

「なに?」



それなのに笑顔は、へたくそ。そんな人。



「なんの冗談ですか?」

「これが冗談に見える?」



小さく頷いた。これが冗談でなくてなんだと言うんだろう?






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