拾い恋(もの)は、偶然か?

私と翔吾さん




私という存在は社長にとってとても弱く、小さなものなんだと思う。だからこうして、非人道的なことも平気でされてしまう。

人は生まれながらにして平等というけれど、私はそんなこときれいごとだと思っている。貧富の差、もって生まれた性格。それは人によって違うのだから。

だけどもし、翔吾さんが子供が作れない体だというだけで酷い扱いをしてきたのだとしたら、翔吾さんの父親であろうが私は、軽蔑する。




『翔吾さんはいらっしゃる?明日香(あすか)が来た、と伝えてもらえません?』

「はぁ。」


インターフォン越しに見えるのは、松崎さんばりの美人。その堂々たる嫌味な振る舞い具合からいって、ただの知り合いだとは思えない。


「誰?」

「ん?明日香さん、だって。」

「は?」


来客のインターフォンが鳴った時、家主である翔吾さんはちょうどシャワーを浴びていた。頼まれて代わりに出たのが運の尽き。色気たっぷりに濡れ髪をタオルで拭きながら笑顔だった翔吾さんの顔が一気に曇る。ということは、やはりこの来訪者は翔吾さんにとっては招かざる客らしい。


「分かった。ありがとう。」

「ん。」


険しい表情のまま、翔吾さんはインターフォンの通話ボタンを押した。


「どうやって住所を?」

『お義父様に教えていただきました。』


まるで普通のことだとばかりにかえって来る答えは、なかなかぞっとする話だ。衛にはあっさり合鍵渡してたし。翔吾さんにプライベートはないってのか。



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