君と、世界が変わる瞬間に。










「わぁ、たくさん人いるね…」


「ほんまやな。…はぐれんようせんと」


一度はぐれたらもう会えないんじゃないかって思うくらい、人がたくさん。まぁ、携帯あるし大丈夫だとは思うけど…。


「何食べる?」


「うーん、あ!あそこのたこ焼きっ!」


「ほないこ!!」



300円と引換に、熱々のたこ焼きを受け取り、私はそれを口に含んだ。


「ふぁっ、熱っ!…熱~!」


「あはは!冷まして食べへんからや!ってあっつ!!」


「ひほのほとひえないひゃんか」


「なって言ってるかわからへん!」


ひとのこと言えないじゃんか!…は伝わらなかったみたい。…それにしても、口の中が熱い…


「はい」


「へ?」


「そこで買ったんや。…雨野さん、オレンジでよかった?」


「うん、ありがとう」


ごくごくと喉が満たされる。口の中の熱さも消えて、スッキリした。


「次はなん食べようか」


「定番のりんご飴?」


「ええな~!」


特大のりんご飴を買った夕凪君。


「あははっでかー!」


「写真とっとこ!!」


そういえば今日はカメラ持ってきてないんだな。…まぁ当然だけど。あんなでかいもの、祭りでは持ち歩けないだろうし。


「…ん~…えいっ」


「え?!」


ーカシャッー


「うん、よく撮れとる!」


「ちょ、夕凪君?!」


急に肩がくっつくくらい近づいた夕凪君は、突然写真を撮った。…世間的にいう、ツーショットだ。


「ほら、見てみ」


笑顔の夕凪君と、なんだかキョトンとしたバカっぽい私。…でも、なんだか楽しそうに映っている。


「ほらもー1枚っ!」


ーカシャッー


今度は2人とも笑顔でとれた。自分で見てても思う。…すごく幸せそうにしてる。


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