君と、世界が変わる瞬間に。










【翌日】


昨日どんなに嫌なことがあって、辛いことがあっても、嬉しいことがあっても。……必ず明日はやって来る。


「はぁぁぁ…」


昨日は夕凪君のメールも無視しちゃったし、あの気まずいなぁ。……とりあえず、初めに謝ろう。話はそれから。


「よし、行ってきます!」


重い足を引きずるように学校へ向かった。




ーガラガラー


「あ、空!今日はいつもより遅かっね」


「うぅ、瑠璃ぃぃ!」


私は昨日のことを話すことにした。……だって1人じゃ抱えられないもん。


「……へぇ、なんか複雑だね」


「でしょ?私どうしたらいいか」


「……空はいろいろ考えすぎ!……夕凪君はなにもしてないはずなんでしょう?だったら、そんなに深く考えないでいいの!」


そ、そうなのかな?


「……空はこれから夕凪君とどうしたいの」


夕凪君と……


「夕凪君も言ってたでしょ?私と空のときも」


「私は…」




ーガラガラー


「みんな席につけ!!」


え、チャイムなってないよね?


「えー実は、急なんだけど……夕凪君がアメリカに引っ越すことになった」


……え……?


「当日まで言わないでくれと言われてたからな」


アメリカ……?…なんで…。


あ、あれ?机になにか入ってる。……あ、手紙?!夕凪君からだ!!!


″雨野さんへ
雨野さん、まず初めに謝ることがあるんだ。雨野さんとこの高校で出会ったのは本当はたまたまじゃない。

……実は、前の高校の先生がアメリカにいる有名な写真家と知り合いで、俺の写真を見せたらぜひこっちにってことだったんだ。俺もたくさんの所で写真が撮りたかった。でもそれと同時に思い浮かんだんだ。君のことが。

今月までだったんだ、猶予が。…今日、俺はアメリカに行かないといけない。

関西弁も実は必死で覚えたんだ。そっちの方がみんな笑うし、雨野さんも笑ってくれると思ったから。

この高校で君に会えてよかった。これだけは、言っておきたかった。ありがとう

夕凪健人より″



バカ。大バカだ。夕凪君は。



『これから夕凪君とどうしたいの?』


そんなの、決まってる!!




ーガタガタッ!!ー


「え、あ!おい!雨野!!?!」


「空!!頑張れ!!」


「うん!!」


私は走り出した。ペースなんて考えてない、最初から本気で。


「はぁ……はぁ……っ」


ープルルルルー


『はーい』


「あ、晴人さん!!…夕凪君は?!」


『健人?もう空港向かったけど?』


「何時のですか?!」


『12時30分だったかな?…』


今は9時。電車とか乗り継いで間に合うかわからない。


「わかりました!!ありがとうございます!!」


『うん……?』


「……あ、すみません!もうひとつ!!」


『ん?』


「あの……」









< 167 / 171 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop