君と、世界が変わる瞬間に。





「もうすぐ夏休みやな〜」


「そうだね」


私たちはアイスをかじりながらポツポツと話を始めた。


「…夕凪君は夏休み……どうするの?」


「屋上にくるの?」と聞こうとしてやめた。基本的に、補習があるので学校は開放されているし、来ようと思えば来られるから。

だけど、なんだか自分で期待しているみたいで本当に聞きたいことは聞けなかった。


「そやな〜…どっかに写真でも取りに行こうって思うんやけど…」


「へぇ」


屋上には来ないんだ…。…まぁ別に、彼が夏休みの間来ても来なくても変わらない…。私は夏休みにまで屋上にこないし…。


「…雨野さんも来るか?」


「えっ…?」


「好きやろ?」


ードキッー

好き?…え、私が……?…ゆ、ゆ、夕凪君のことを?!


「写真!」


「…ふぇ?」


「なんやその返事〜!…写真好きなんやろ?毎日ここに来るくらいやもんな〜!」


「べ、別に毎日来てたのはっ…!……写真も嫌いじゃないけど…」


ていうか、好きって写真のことか。…そりゃぁそうだ。…バカ私。…勘違いして恥ずかしい。


「うーん…。…あ、じゃあ雨野さん!メアド交換しようや!!な!」


「え?!」


夕凪君はゴソゴソとカバンから携帯を取り出し、「ん!」と前に出してきた。…私も出せってことなんだろうな。





「よし!雨野さんのメアドゲット〜」


な、なんだかその言い方恥ずかしいんだけど。


「…メールしてもええか?」


「え…あ、うん。全然構わないよ」


本当は男の子からのメールなんて、ドキドキしてしまうけど、それを悟らせないように笑う。


「…………雨野さんも俺にいつでも連絡しいや」


「…えっ?」


「…どんなことでもええよ。もし助けが必要なら世界の反対に居ようとかけつけたるわ」


嬉しい。そう思うのに…嫌な感情も一緒に存在を表した。

そんなこと、簡単に言わないで。本当に助けが欲しかった時に…誰も私を助けてはくれなかった。だから君もきっと、私を助けてはくれない。


「うん。ありがとね」


私のSOSは、きっと誰も気づいてくれない。





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