なないろ
久しぶりに動かした体は程よくほぐれ、体全体の力が抜けていくような気がする。

やっぱり私にも体のリハビリが必要なのかもしれないな。

「ひゃー腹減った!何か食いに行こうぜ」

「おー何しよか?」

野球部組はそう言いながらもまたキャッチボールを始める。

「虹、なかなかやるじゃん」

汗を拭きながら小椋くんが聞いてくる。

「弟がサッカーやってて、よく練習相手させられたから」

まさかそんなことが役に立つなんて思いもしなかった。

「おー、それでか。どこのチーム?」

「緑ヶ丘FC、今小6」

「緑ヶ丘?強いじゃん」

「そう?」

頑張ってはいるみたいだけど、結果はマチマチだと聞いている。

「な、今度弟連れて試合見に来いよ!」

「え?ウソ、いいの?」

サッカー馬鹿の空はきっと大喜びするだろう。

でも、私なんかが行ったら迷惑じゃないのかな……社交辞令で誘ってくれてるだけ?

「もちろんだよ」

「行きたい!弟も喜ぶと思う」

「おう、また連絡する……て連絡先教えてもらえる?」

「あ、うん。そうだね」

ドキドキが伝わらないようにカバンからスマホを取り出す。

そんな私たちのやり取りを見ていた野球部組がやってきて。

「一紫、1年なのにレギュラーなんだぜ、知ってた?」

さらりとすごいことを教えてくれる嘉山くん。

「えっ?嘘?すごいじゃん!じゃあ試合にも出るの?」

「……たぶん」

目をクリッとさせて照れたような小椋くん。

「まさか、小椋くんが出る試合が見られるなんて思ってなかった」

なんでだろう、すんなりと気持ちが表に出てくる。

「え?ああ、なんか緊張するな」
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