遅すぎた初恋
「まさか童貞?」

「そんな訳ないでしょ!」

「罪な男ね。」

「……。」
貴方がそれを言うか⁉︎

「ねえ、榊。貴方もう定年はしてるんだし、広高の事は半分にして、こっちに引っ越して来ない?一人身は何かと不自由になるわ。来年には海堂さん達も越してくるし、ますます賑やかになるから、貴方もおいでなさいよ。ね。」
と提案してきた。私は返答に迷って、

「そうですね…。まあ、その内に考えてみます。」
と答えるのにとどめた。

「その内っていつよ。」

「その内は、その内です。」

「もう。本当に考えてよ。」

「はいはい。」

「榊。」

「はい。なんですか?」

「…貴方は、私より先に征かないで。」

「……。」
「…それは、致しかねますね。私は、ゆかり様より六つも上ですからね。順番からしたら、約束はできません。」

「それでも、征かないで。」

「…困った方ですね。努力は致します。」

「ありがとう。」


と、ゆかり様が真剣な目で見てくる。困った方だ、本当に。そんな目を向けられたら頑張るしかないじゃないか。貴方はきっと分かってらっしゃる。私の気持ちを。そして分かった上で、酷い約束を平気で取り付けてくる。
仕方ない貴方の瞳に囚われてしまった、私の落ち度だ。とことん付きあいましょう。
決して、愛していると言わせて貰えない貴方と。
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