副社長は今日も庇護欲全開です
「えっ? どういうって、なにが?」

どうして真美香が怒り気味なのか、全然分からない。戸惑いを見せると、彼女は大きくため息をついた。

「今日のコンパ相手は、外資系証券会社に勤めてるのよ? 仲良くなって損はないのに、陽菜ってば少しも話さないじゃない」

真美香は腰に手を当て、仁王立ちをしている。そんな彼女は、プロポーション抜群の美人で、学生時代は読者モデルをやっていたらしい。

だからなのか、常に自分に自信があるオーラを出していて、そこは真美香に対して苦手に思うところだった。

メイクばっちりの彼女の大きな目に見据えられ、すっかりたじろいてしまう。

「だ、だって。コンパが嫌いなのは知ってるでしょ? 隠してつれてきた真美香にだって、責任あると思う」

なんとか反論すると、真美香はさらに私を強く睨んだ。

「そうでもしないと、陽菜は彼氏を作らないでしょ? 毎日仕事ばかりで、つまらなくない?」

「そんなことは……ないよ」

思わず真美香から目をそらしてしまったのは、半分図星だったから。

毎日がつまらないわけじゃないけれど、たしかに彩りには欠けてる……。

でもそれは、彼氏がいないからではないと思うんだけど。
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