泣き跡に一輪の花Ⅱ~Victim or Notice~。






「空我、どこ行きたい?」



俺を後部座席に乗せて、潤はバイクを加速させた。





「……遊園地」






5歳の時、まだ平和で楽しかったあの13年前。




その時のことだけは、やたら鮮明に覚えている。







俺は、血の繋がっていない父親と母さんと3人で遊園地に行ったんだ。





コーヒーカップに、メリーゴランド、ちっちゃい子供用のジェットコースター、それに観覧車。





とにかく沢山の乗り物に3人で乗って、




俺はとんでもなくはしゃいでいた。




ジェットコースターでびびって泣いて、母さんは必死で俺のことあやしてたっけな……。





まさか、それが家族で最後のお遊びになるだなんて、俺はその時想像もしていなかったんだけど。









< 44 / 115 >

この作品をシェア

pagetop