優しい音を奏でて…優音side

─── 6年生 3月 ───

俺たちは、卒業した。

卒業式では、奏のピアノに合わせてみんなで合唱した。

出席番号順に並んだ俺は、奏の隣の席だった。

卒業式も間も無く終わる頃、隣の奏の頬をひと雫の涙がこぼれ落ちるのを見た。

正面を見据えたまま背筋を伸ばして凛として泣く姿は、とても美しかった。

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