短編:恋の残り香
美加は時々、健司の元へお弁当を届けに出掛けた。

油にまみれた作業着で、汗をかきながらも真剣な顔で働く健司が堪らなく好きだった。


「嫌じゃねぇの?
普通みんな嫌がるらしいんだけど」


初めて行った時、健司は照れ臭さそうにしながらも美加に尋ねた。


「何で?あたしは全然平気。
だって健司、すごいかっこいいし」


「はぁ?かっこいい?
お前、変わってんな」


「えー、普通だよ。
だって健司だもん、どんなんだって全然平気だよ。」


幸せな一時だった。

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