手のひらの天秤 ~究極の選択ゲーム~

「はぁ、二人とも馬鹿なこと言ってないで早く授業の準備したら?」


私達の会話を聞いて本を読んでいた姫宮志芳(ひめみやしよし)ちゃんが顔をあげた。


「志芳ちゃん、おはよう! 今日は何の本読んでるの?」


「フョードル・ドストエフスキーの『悪霊』よ。
ロシアを代表する文豪だけれど、
希望は彼の作品読んだことある?」


「えっ、ドス……ドフスキーさん…?
ちょっと聞いたことないから、
読んだこともないかな」


「ふっ、でしょうね。知ってた」


志芳ちゃんは私達のグループのリーダー的存在だ。

頭もすっごくいいし、クラスでもトップクラスに美人。

髪型もサイドをみつあみでしばって後ろでまとめたおしゃれな感じで、クールビューティーって言葉がよく似合う。


ただ、性格は他人にも自分にもけっこう厳しくて誤解されやすい。

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