不良に恋した私 ~Is there love in the air?~
6、素直になれない ~Is there love in the air?~
ゲームに夢中になりすぎて、遅くなってしまった。
「家まで送るよ」
日もくれてしまった上、道もわからないので、丸山くんが家まで送ってくれることになった。
「遅くなっちまったな」
「平気。うち、父親しかいないし、いつも帰りは遅いから」
こういう話をすると、必ず『ごめん』とか、『かわいそう』とか、『大変だね』とか言われる。
私はそれが苦手だった。
「ああ、だから、あんなゲーム上手いんだ?」
丸山くんの意外な反応に私はきょとんとした。
彼の反応は他の誰とも違った。
「俺と同じだな。俺んとこは親父がいねーけど」
そういうと丸山くんは嬉しそうに微笑んだ。
私は病院で会った丸山くんのお母さんとの会話を思い出していた。
自分の家族が継母しかいないって、いったい、どういう気持ちなんだろうか。
やっぱり寂しくなったりするのだろうか。
そのお母さんにまで目の前で倒れられて、今、実は一人で居たくないくらい、ものすごく不安なんじゃないだろうか。
「また、一緒にやろうな?」
丸山くんの抱えてるものは、私なんかじゃ計り知れないものかもしれない。
このまま自分の家に帰って、丸山くんを家に一人ぼっちにしても大丈夫なのだろうか。
何も答えない私の顔を、丸山くんは覗き込んだ。
「……いやか?……」
丸山くんの寂しそうな表情に胸がキュンとする。
「もちろん、やりたい」
丸山くんのアップに私の顔が思わず赤らむ。
そんな私を、丸山くんは、またクスクスと笑った。
「金井がいうと、なんか、やらしいな」
「なっ、なんでよ!」
私は軽く叩こうとしたら、その手を捕まれた。
「顔赤いぞ……」
丸山くんは、私を恥ずかしがらせるためなのか、そのまま手を繋いで歩き出した。
「赤くないよ」
そう反論してみたものの、 手から伝わっちゃうんじゃないかってくらい、ドキドキが止まらなかった。
「……俺が色々教えてやるよ」
「え?」
私の体温はますます熱くなる。
「ゲームの話だぜ?」
「わ、わかってるよ」
勘違いさせようと、またわざとだ。
丸山くんには、からかわれてばかりだ。
「美弥ちゃん?」
私の家の前だった。
「美弥?」
後ろから二人組に呼び止められた。
私は振り返らなくても、その声の主がわかったので、繋いでいた丸山くんの手をそっと離した。
「美弥ちゃん、こんばんは」
「こんばんは」
私はそっけなく答えた。
この人は父親の新しい恋人だ。
たぶん、もうすぐ私の母親になる。
「美弥、今、学校帰りか?遅いな」
隣に居たのは私の父親だ。
「友達と遊んでたから。お父さん達こそデート?」
年甲斐もなく赤くなる父親。
「デートっていうか、美佐子(みさこ)が晩飯作ってくれるって言うんで、今から家にだな……」
「今日は、泊まるつもりですか?」
私は父親の恋人に尋ねた。
私は彼女のことを嫌いではなかったが、急に自分の母親がなるかもと言われても、どう接していいか、わからなかった。
「美弥、その言い方はないだろ?」
彼女とのやりとりに、父親が割り込んでくる。
今の私の発言のどこにトゲがあったのだろうか。
私はただ思ったことを聞いたつもりだった。
「いいのよ、清治(せいじ)さん。私は気にしてないわ」
お父さんと彼女の仲むつまじい雰囲気に、イライラが増してくる。
「どうぞ、ゆっくりしていってください。
明日休みだし、私は友達のところに泊まるので」
私はそう二人にいい放つと、玄関の方へ駆け出した。
「おい!美弥!」
後ろでお父さんの怒鳴り声が聞こえた。
今の私の態度が悪かったことは、誰に言われなくても自分が一番わかっていた。
でも彼女にどう接していいかわからない。
父親と彼女が私を追って家に入ってきた。
私は部屋にあった適当なカバンに、着替えなどを詰め込んだ。
開いていた部屋のドアの外から、彼女が遠慮がちに声をかけてきた。
「ごめん、美弥ちゃんが嫌なら私、今日は……」
全然わかってない。
彼女に帰られたら完全に私が悪者だ。
「泊まっていってくださいよ」
私は荷物を持って部屋を出て、彼女の横を通りすぎた。
「美弥!どこへ行く」
玄関から出ていこうとする私の肩を、父親が掴んだ。
「ごめん、友達と約束してるから」
私は父親の手を振り払うと、靴を履いて外に出た。
「おい!美弥っ!!」
家の外には、まだ丸山くんが立っていた。
「……ごめん、せっかく送ってくれたのに」
私はとぼとぼと、とりあえず駅の方へ歩き出した。
「……どこ行く気だ?」
丸山くんは私を追いかけて来てくれる。
「どっかその辺……」
振り返ってみても、
父親は玄関から出てくる気配はない。
一度は止めるそぶりをするが、追いかけては来ない。
それが答え。
私より彼女の方が大事なのだ。
「……俺んち戻るか?」
「家まで送るよ」
日もくれてしまった上、道もわからないので、丸山くんが家まで送ってくれることになった。
「遅くなっちまったな」
「平気。うち、父親しかいないし、いつも帰りは遅いから」
こういう話をすると、必ず『ごめん』とか、『かわいそう』とか、『大変だね』とか言われる。
私はそれが苦手だった。
「ああ、だから、あんなゲーム上手いんだ?」
丸山くんの意外な反応に私はきょとんとした。
彼の反応は他の誰とも違った。
「俺と同じだな。俺んとこは親父がいねーけど」
そういうと丸山くんは嬉しそうに微笑んだ。
私は病院で会った丸山くんのお母さんとの会話を思い出していた。
自分の家族が継母しかいないって、いったい、どういう気持ちなんだろうか。
やっぱり寂しくなったりするのだろうか。
そのお母さんにまで目の前で倒れられて、今、実は一人で居たくないくらい、ものすごく不安なんじゃないだろうか。
「また、一緒にやろうな?」
丸山くんの抱えてるものは、私なんかじゃ計り知れないものかもしれない。
このまま自分の家に帰って、丸山くんを家に一人ぼっちにしても大丈夫なのだろうか。
何も答えない私の顔を、丸山くんは覗き込んだ。
「……いやか?……」
丸山くんの寂しそうな表情に胸がキュンとする。
「もちろん、やりたい」
丸山くんのアップに私の顔が思わず赤らむ。
そんな私を、丸山くんは、またクスクスと笑った。
「金井がいうと、なんか、やらしいな」
「なっ、なんでよ!」
私は軽く叩こうとしたら、その手を捕まれた。
「顔赤いぞ……」
丸山くんは、私を恥ずかしがらせるためなのか、そのまま手を繋いで歩き出した。
「赤くないよ」
そう反論してみたものの、 手から伝わっちゃうんじゃないかってくらい、ドキドキが止まらなかった。
「……俺が色々教えてやるよ」
「え?」
私の体温はますます熱くなる。
「ゲームの話だぜ?」
「わ、わかってるよ」
勘違いさせようと、またわざとだ。
丸山くんには、からかわれてばかりだ。
「美弥ちゃん?」
私の家の前だった。
「美弥?」
後ろから二人組に呼び止められた。
私は振り返らなくても、その声の主がわかったので、繋いでいた丸山くんの手をそっと離した。
「美弥ちゃん、こんばんは」
「こんばんは」
私はそっけなく答えた。
この人は父親の新しい恋人だ。
たぶん、もうすぐ私の母親になる。
「美弥、今、学校帰りか?遅いな」
隣に居たのは私の父親だ。
「友達と遊んでたから。お父さん達こそデート?」
年甲斐もなく赤くなる父親。
「デートっていうか、美佐子(みさこ)が晩飯作ってくれるって言うんで、今から家にだな……」
「今日は、泊まるつもりですか?」
私は父親の恋人に尋ねた。
私は彼女のことを嫌いではなかったが、急に自分の母親がなるかもと言われても、どう接していいか、わからなかった。
「美弥、その言い方はないだろ?」
彼女とのやりとりに、父親が割り込んでくる。
今の私の発言のどこにトゲがあったのだろうか。
私はただ思ったことを聞いたつもりだった。
「いいのよ、清治(せいじ)さん。私は気にしてないわ」
お父さんと彼女の仲むつまじい雰囲気に、イライラが増してくる。
「どうぞ、ゆっくりしていってください。
明日休みだし、私は友達のところに泊まるので」
私はそう二人にいい放つと、玄関の方へ駆け出した。
「おい!美弥!」
後ろでお父さんの怒鳴り声が聞こえた。
今の私の態度が悪かったことは、誰に言われなくても自分が一番わかっていた。
でも彼女にどう接していいかわからない。
父親と彼女が私を追って家に入ってきた。
私は部屋にあった適当なカバンに、着替えなどを詰め込んだ。
開いていた部屋のドアの外から、彼女が遠慮がちに声をかけてきた。
「ごめん、美弥ちゃんが嫌なら私、今日は……」
全然わかってない。
彼女に帰られたら完全に私が悪者だ。
「泊まっていってくださいよ」
私は荷物を持って部屋を出て、彼女の横を通りすぎた。
「美弥!どこへ行く」
玄関から出ていこうとする私の肩を、父親が掴んだ。
「ごめん、友達と約束してるから」
私は父親の手を振り払うと、靴を履いて外に出た。
「おい!美弥っ!!」
家の外には、まだ丸山くんが立っていた。
「……ごめん、せっかく送ってくれたのに」
私はとぼとぼと、とりあえず駅の方へ歩き出した。
「……どこ行く気だ?」
丸山くんは私を追いかけて来てくれる。
「どっかその辺……」
振り返ってみても、
父親は玄関から出てくる気配はない。
一度は止めるそぶりをするが、追いかけては来ない。
それが答え。
私より彼女の方が大事なのだ。
「……俺んち戻るか?」