君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
action.4

✱ここで恋をした

12年前。
高校入学式の朝。



「やばい!入学式早々遅刻しちゃう!」



リビングを通りすぎるときに、中をみるけどもう誰もいない。



「誰も来ないよね」



ふぅっとため息をつき、靴を履いて家をでる。

真新しい制服を身にまとって、進む1歩はどんな世界が待ってるのかな。なんてワクワクしながら。

高校生になって、友達とショッピングだって行きたい。
彼氏だって欲しい。
たくさんしたいことがある。

いままでよりも学校が少しだけ遠くなったぶん、家にいる時間も短くて済む。

といっても、高校が地域にひとつしかないから、そんなに離れてるわけでもないし歩いていける距離だ。
本当なら、家を出たくて仕方なくて。
全寮制の学校に行きたかったくらいだ。



「いけない、走らないと」



腕時計は、学校につかなきゃいけない時間を過ぎていた。

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