君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
『たしかに一度帰ってきたけど、愛莉の部屋はもうないので、なんで帰ってきたのか聞いたら帰っていったわ』



電話した俺に告げられた、愛莉のお母さんの言葉。

愛莉は家族の中でずっと孤独な思いをしていた。
妹と弟がいて、1番上の愛莉だけ、辛く当たられてたのを知っていた。
だから、俺が東京に連れ出したようなもんだ。



「……そんな。愛莉だって、おばさんの子供じゃないですか」


『いいのよ。あの子はもうあたしのかとなんて憎んでるんだから』



寂しそうにそう言う愛莉のお母さんの言葉は、今日になってもずっと耳に残ってる。

本当は、愛莉のことちゃんと愛してるんじゃないか。
ただ、1番上だからと厳しく育ててしまったあまり、接し方が分からなくなってしまってるんではないかと思った。

でも、愛莉もそばにいないいま、何も俺にはできない。

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