君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
でも、芸能界を去ったあとの未来はわからない。
高校を卒業して、すぐにバイトしながら養成所に通いだした俺が、大して働いたことのない俺が普通に働けるなんて思えなかった。
車椅子生活になるだろうし、仕事なんて見つけることも容易くないとわかってる。

そんな、見えない先の未来に一緒にいようなんて、言えなかった。
愛莉には安定した幸せな生活を送って欲しかったから。



「ごめん、愛莉」



やっと、愛莉とまた気持ちを通わせた。
せっかく繋がった想いだった。



「こればかりは仕方ねぇよな……」



本当はもう二度と掴んだ手を離したくなんてなかった。

それでも、俺は歩けなくなったことを愛莉にだけは知られたくなかったし、未来の約束もできなかった。



「もしも、奇跡が起きて歩けるようになったなら……」



その時は、愛莉に自分の足で会いにいく。

──……だから。

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