君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
『浩一くんについて行くんなら、勝手にしなさい。その代わり、出ていったならもう頼らないでよ』



地元を去るときに?交わした会話だった。
本当はたまに帰りたかった。
でも、浩ちゃんと会話がなくなって寂しくなったあたしは、帰った。簡単に心が折れた。



『なんで帰ってきたのよ。あんたの部屋なんてないわよ』



最後に交わした言葉はこれだったかな。
そのあと結局、友達の家にいって、それ以来もう会ってない。

あの時見た自分の部屋だったはずの場所は、妹のものになっていたな。



「怖い?」



テーブルに座ったまま、揺れるコーヒーの波をみていると、大ちゃんに顔を覗かれた。



「浩ちゃんと話せなくなって、地元帰ったときに『なんで帰ってきたの?』って言われたなーって思い出して」


「そっか。俺がいるから大丈夫だよ。なんも心配することはないから」

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