銀狼と緋色のかなた
「僕は碧眼の人狼。次のブラッディムーンまでに運命の人に出会わなければ、狼になる」

かなたも狼姿の空月も、大きく見開いた目でヒロトを見つめた。

「あなたも、人狼なの?」

ヒロトは苦笑しながら頷いた。

「ああ、それに君とは同じ年だ」

かなたの年まで知っているなんてどういうことだろう。次のブラッディムーンまでに、かなたが運命の男性に出会わなければ狼になってしまうことも承知でここまで来たというのか?

益々わからないという顔をして、かなたは首を振った。

かなたの隣に寄り添う空月は、二人を見比べると、ほっとしたような悲しそうな表現を見せたが、一瞬でかき消し、ヒロトに向きなおった。

「誰からそんなことを聞いたんですか?まさか,,,」

かなたには一つだけ思い当たる節があった。

そう言いかけたとき、かぶせるようにヒロトが言った。

「彼女に,,,はるかに聞いたんだ」

先程までヒロトが立っていた垣根の向こうから、ゆっくりと顔を出す、空月よりもかなり小ぶりな緋色眼の狼。

「はるか!」

そう、その緋色眼の狼はかなたの従姉である"はるか"だったのだ。
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