拒絶された後の憂さ晴らし
「いらないわ。ライターが欲しくて声をかけた訳じゃないもの」


拒絶されても、諦めたくはない。


大抵の男はヘラヘラしながら声をかけて来たが、この男は違う。


上辺だけの付き合い、身体だけの関係を持つ前に拒絶したのだから、その辺の男とは訳が違う。


なびかなければ、なびかない程に手に入れたいと望むのだ。


「いるんだよね、お前みたいなウザイ奴。電子煙草にすれば近寄って来ないって分かってはいるけど、アレじゃ何だか物足りないからな」


「分かる、分かる!電子煙草は私も好きじゃない。普段の煙草と同じ種類でも味も違うし!」


「……共感されても、お前みたいな奴は嫌いだから。見かけても話しかけるな」


共感する事は出来ても自分の領域には入って来るな、と有刺鉄線を張り巡らせて来る。


「分かったわよ、話なんてかけないわ。せいぜい、アノ子に媚び売ってたら良いでしょ?私、知ってるんだから。貴方がアノ子を気に入ってるって…」


有刺鉄線をすり抜けられる、唯一の策と言えばアノ子に力になって貰うしかない。


「…っるせぇな、お前には関係ない」


「関係あるわ。だって、彼女は私の部署の後輩だもの。お近付きになるには味方をつけなきゃ…ねぇ?」
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