恋が枯れるまえに、約束を

○罪滅ぼし


side雨寺



私が3人を置いてその場を後にした後、彼らは遅れていつも通りニコリと微笑み歓迎会に参加した。


まるで、何もなかったかのような、
それは清々しい笑顔だった。


この感覚は、二回目だ。


朝を出迎えてくれた時と同じ、
凛とした綺麗な笑顔。


その奥に潜む謎はまったく読めやしない。


なんて、先ほど釘を打たれたばかりなのに、またこんな事を考えるなんて。


散々理沙たちが着く頃には気持ちを
入れ替えようとしていたのに。


「伊織は明太マヨと、明太チーズ、
どっちのお好み焼きがいい?」


「へ?ああ…」


理沙は私の隣、座敷の座布団に腰掛け
メニュー見ながらそう問いた。


「私は──…」


………。


せっかくみんなが自分のために
歓迎会をしてくれているんだ。


もっと楽しまないと……っ


「チーズ明太…かな?」

< 86 / 123 >

この作品をシェア

pagetop