社内恋愛狂想曲
かわいいって……かわいいって……なんだそれは!

私たちを喜ばせてどうするつもり?!

お世辞とか言葉の綾から出た言葉なのだとわかっていても、普段あまり言われる機会がないので、かわいいなんて言われるとつい嬉しくなってしまう。

女ですもの、いくつになってもかわいいと言われれば嬉しいに決まっている。

それが若くて綺麗な顔立ちのイケメンに言われたなら、喜びは倍増だ。

もしかして私のこういうところが、単純で気楽そうでいいのか?!

いや、私だけでなく葉月だって抑えようとしてはいるけれど、はにかみながらニヤニヤが止まらないところを見ると、嬉しいのが手に取るようにわかる。

一方、伊藤くんは頭を抱えて絶句している。

いつも誰にでも優しく接しているくせに、甘い言葉には免疫がないらしい。

こんなので本当に、葉月に対して好きだという気持ちを伝えられていたんだろうか?

それこそ、瀧内くんと伊藤くんを足して2で割って、プラスアルファって感じがちょうどいいのかも……なんて言ったら二人に怒られるかも知れないけれど、普段はクールなのに、たまにしれっと甘い言葉を言える瀧内くんのこういうところを、伊藤くんはどんどん見習うべきだと思う。

とは言え、甘い顔を見せるのは誰にでもではなく、もちろん好きな人限定での話なのだけれど。




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