社内恋愛狂想曲
できることならなんでも協力すると言ったし、少しでも三島課長が幸せになるための役に立てると嬉しい。

「わかりました、お引き受けします」

私が承諾すると、三島課長は少し恥ずかしそうに右手を差し出した。

私も右手を出して三島課長の右手を握る。

「よろしくな」

「こちらこそ」

入社して三島課長と知り合ってから何年も経つけれど、こんな風に手を握りあったのは初めてだと思う。

束の間の偽婚約者だとわかってはいるけど、なんだか少しくすぐったい気分になった。


こうして私は、三島課長の婚約者になったのだった。

…………急場しのぎの偽物だけど。






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