社内恋愛狂想曲
こんな風にくっついていると、どうしてもムラッときてしまうらしい。

それは無理もないのだけど、やはりここは我慢してもらわないといけないので、そろそろ起きることにした方が良さそうだ。

「お腹空いた。ねぇ潤さん、どうせ食べるなら朝ごはんにしよう」

「そうだなぁ……。もう少し布団の中で一緒にゴロゴロしてたかったんだけど、このままこうしてると志織を食っちゃいそうだからそうしようか」

潤さんはしぶしぶといった感じで起き上がり、私を抱き起こして唇に軽く口付ける。

「あー……怪我さえしてなければなぁ……」

「うん、だから二人とも早く治そうね」

心底残念そうに呟く潤さんを軽くいなして、一緒に1階に下りた。

ハムエッグを乗せたトーストとコーヒーを二人で用意してゆっくりと朝食を済ませ、食べ終わったあとは私が食器を運び、潤さんが洗う。

片付けが済んだ頃には、リビングの壁掛け時計の針は10時半を少し過ぎたところを指していた。

二人でソファーに座って2杯目のコーヒーを飲んでいると、潤さんが部屋の隅に起きっぱなしになっていた荷物を指さしながら尋ねる。

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