ドワリとインスタグラム
患者

男は、椅子に座ると汗をかきながら必死に話し始めた。

「先生昨日の夜からずっと頭がドワリなんですよ。

何とか助けて下さい。眠れないしドワリが酷いんです。」


私は、心療内科の先生らしく落ち着いて対処しようとしたが、ドワリとは何かさっぱり分からず男に聞いた。

「すいません。もう少し具体的そのドワリですか?それを教えて貰えないでしょうか?

つわりとは違うんですよね?」

「先生舐めてるんですか?精神科なんて本当は受けたく無いんですよ。
男の俺がつわりで来ますか?
それとも、男の俺が頭がおかしくなって、つわりと勘違いしてると思ってるんです!!

これだから、精神科に来たくなかったんだよ!!

ドワリと言ったらドワリとしか言えないんですよ。」

なるほど、ドワリかさっぱり分からないが、ここは精神科では無くて心療内科だと内心私は思ったが、冷静を装いながらドワリについて必死に考えた。

しかし、開業したばかりとは言えどもそれなりの勉強もしてきて周りからは、優秀な人間と思われてる私でもドワリについて全く検討が付かなかった。

だが、患者に分かってないと思われるのは不味いので丁寧な口調で聞いた。


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