正しい『玉の輿』の乗り方

実は今日のお見合い、私は相手の顔を知らなかった。
何故なら、友人の夕夏が婚活サイトで見つけてくれた人だから。

ガラ携しか持っていない私の代わりに、私の名前で登録してくれて、『玉の輿』を狙えそうな相手を探してくれていたのだ。

そんな夕夏から、お見合いをセッティングしたと連絡を受けたのは昨日のこと。

『社長の息子だからお金は絶対にあると思う! でも顔はあまり期待しないでね』

そんな風に言われていたから、容姿に関しては諦めていたのだけど。

いやいや、夕夏さん!
めちゃめちゃカッコいいじゃないですか!

どんな人でも受け入れるつもりではいたけれど、顔はいいに越したことはない。

「そうなんですね。では、あなたが……えっと」

あれ。
名前って何だっけ?
握っていたメモを盗み見るも書いていない。
大事な名前をメモっていないなんて一生の不覚。

夕夏、なんて言ってたっけな。
必死に思い出していると、彼の方から名乗ってきた。

「宮内です。宮内樹(みやうちいつき)」

「あっ、そうでした! 失礼しました」

ペコリと頭を下げると、彼は私に優しく微笑みながら名刺を差し出してきた。

宮内製薬
副社長 宮内樹

名刺を見て更に驚かされた。

えっ……あの宮内製薬の御曹司なの?
誰もが知る王手製薬会社の名に体が震える。

「おケガはしてないですか?」

「えっ、あ~全然大丈夫です」

すっかり転んだことなんて忘れていた。

だって、目の前で優しく笑う彼は王子様のようで。
まるでシンデレラにでもなったような気分だった。


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