クールな次期社長と愛されオフィス
ベッドの上で部長は優しく私の髪や頬を撫でる。

唇がゆっくりと離れ、部長が熱い眼差しで私を見つめていた。

「こんなにも誰かに惹かれ、求めたいと思ったことはない」

その眼差しと言葉の熱で私の心と体は溶けていくようだった。

「アコの全てを愛したい」

部長の顔が霞んでいく。

私、泣いてる?

あまりにも嬉しくて感動して、どうしていいかわからなくて。

頬に流れ落ちる涙に部長は優しくキスをした。

「どんなことがあっても俺はアコを守り抜く。だからずっと俺のそばにいてほしい」

「はい」

私は溢れる涙を堪えながら答えた。

「あと、アコに一つだけお願いがある」

「何でしょうか?」

「俺のこと、名前で呼んでほしい。いつまでも部長っていうのは色気もくそもないからな」

部長はそう言ってはにかみながら、私の前髪を掻き上げた。

「俺の名前は湊、だ」

部長のこと、呼び捨てで呼ぶなんて。

色んなドキドキが重なって、でも、呼びたい。

部長にもっと近づきたい。

「・・・・・・湊」

小さな声で言った。

部長は嬉しそうな顔で頷く。

「これからは、それで頼むよ」

「はい」

私は体中が熱くなるのを感じながら頷いた。

「じゃ、アコ、今晩は覚悟しておけよ」

「え?」

湊は私のプラウスのボタンを外しながら首筋、肩へと唇を落としていく。

何度も「愛してる」と言いながら。

湊の愛に包まれながら、私達は初めて一つになった。

小樽の甘くて長い夜は、一生忘れることができないくらいに幸せだった。

これから先どんなことがあっても、湊のために、湊と共に生きていきたい。

例え不釣り合いと誰かに言われたとしても。

決意に似た感情が私の奥から沸き上がっていた。





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