クールな次期社長と愛されオフィス
その夜遅く湊の待つ家に帰るとその姿はなく、スマホを見るとLINEが届いていた。

【明日は朝早くから社長との緊急打合せが入った。その準備もあるし、今夜は会社近くのホテルで泊まる  湊】

急な打合せ?

日曜の夜にそんな打合せ予定が入るなんて珍しいと少し気になったと同時に、私も明後日、社長に例の話について自分の決心を伝えなければならないことを思い出す。

私の気持ちはもうすっきりと固まっていた。

湊の夢を守りたい。

だから、会社を辞めようと。そして、これ以上迷惑をかけないよう湊の家から出ようと思っていた。

自分の責任は自分で取るのが筋ならば、私が辞めることが一番正しい選択。

カフェの資金が断たれることは不安だったけれど、友江さんの言ってたように夢への道は一つじゃない。

その資金元は他に探せばいいんだよね。

湊には、そんな自分の決心は、社長に話した後二人でゆっくり話そうと思っていた。

一人でいるこの家はやけに静としていて、色んな思いが頭に浮かんでは消えていく。

静かな部屋にやけに耳につく秒針の音を聞きながら、目を閉じた。






< 98 / 120 >

この作品をシェア

pagetop