秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
貴方を起こさない朝が。

家を出ていく宣言をしてから、
少しずつ自分の荷物の整理を進めた。

買ってきた段ボールにいるものといらないものを分けながら詰めていく。

元々柊ちゃんの暮らしていた家に私が住み込み始めたようなものだから、荷物の量もたいしたものではなかった。

そして、私は元々暮らしていた実家へ戻る。
さすがに会社まで徒歩約10分のこの柊ちゃんのマンションと比べたら遠いけれど、
実家はバスを使えば十分通勤できる距離にある‥というか、元々通勤していた。

ポケットに入っていたスマホを取り出していくらかタップし、
電話帳から家の連絡先を開く。

実はまだ家にはその事を連絡しそびれていた。

──‥お父さんとお母さん、驚くかな。
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