秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。



「分かりました。私から、最上社長にお渡ししておきます」



「ありがとう」


表情を変えないままの光一さんにそうお礼を言われ、私も惚けた顔のまま副社長室を後にした。





社長室へと戻り、コンコンっとドアをノックしたが、柊ちゃんの声は応えなかった。

そっか、そういえば今はまだオーディションのミーティング中だった。

そんな事を思い出して、ホッとして胸を撫で下ろす。

‥‥ん?何で今私ホッとしたんだろ‥。


もやもやした気持ちを抱えながら、ドアノブを回して柊ちゃんのいない社長室に入った。

椅子に座ることもなく、預かった手帳型のお見合い写真を恐る恐る開く。


驚いた。

─あんまり綺麗な人だったから。
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