秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

そう言って柊ちゃんに連れていかれたのは初めて見る小さなケーキ屋さんだった。

ちょっと入り込んだ所にあって、
ウッドハウスな作りで、絵本から飛び出してきたように可愛い。

ドアを開けると、カランカランっと音がして、見上げてみると木造りのドアに、ぶら下げられたいくつかのくるみの飾りがぶつかる音だった。

素敵な内装に思わずキョロキョロしながら、そのままショーケースまで進む。

「柊ちゃんすごい、こんな可愛いお店知ってたなんて意外」

「立地的にけっこう穴場なんだけど、いい店だろ?この間仕事の挨拶帰りに見つけた。‥ほら、どれがいい?」

そう言われ、柊ちゃんの視線をなぞるようにショーケースに視線を移した。


「わぁ、美味しそうなのばっかり‥!」

「あ、これとかいいじゃん」

「えーっ、それホールケーキだよ、さすがに食べきれないよ」

柊ちゃんが指さしたのは、生クリームとラズベリーが控えめに載った美味しそうなフルーツのホールケーキ。

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