Better*honey―苦くて甘い秘密の恋―


「それじゃあ二人が配属する部署に行こうか」


長い説明が終わり、


大谷さんに連れられ、


それぞれのチーム(部署)の紹介を受けながら回る。


見渡す限り、女の人ばかりだ。


でも私にはありがたい。


どちらかと言うと、


年上の人と話すのが好きだし。



「はい、ここが君たちに配属してもらうwebだよ」


Web…??


Webって、通販のやつ??


「ここでは、インターネット通販で

衣服や雑貨などを取り扱っていて、

それを出荷したりするお仕事をしてもらっているんだ」


今まで回ってきた部署の中で


一番明るいイメージ。


さっきまでの人達は全然会話がなくて、


無表情で怖いイメージだったけど。


ここの人達はなんだか優しそうな雰囲気だ。


皆ワイワイと楽しそうに話ながら作業してる。


「それじゃあ、後のことは頼むよ。

高瀬(たかせ)くん」


大谷さんに"高瀬"と呼ばれ、


はい。分かりました。と返事を返す彼の声を聞いて


驚いた。


「僕がWebの担当事務の

高瀬雅(たかせ みやび)です。」



"よろしくお願いします"と


礼儀よくお辞儀をする彼に、


沙織は凄く嬉しそうに顔を赤く染め、


何度も何度もお辞儀をし返した。


けど、私は…


固まって動けなかった。



こういうの、何ていうんだろ…



わからないけど、


体が上手く動いてくれなくて…


息が、しづらくて。


胸がギューッて苦しくなる。




まさか…



いや、そんな訳ないよね。



その後、



1日体験みたいな感じで仕事をやらせてもらったけど



ずーっと胸がキシキシと鳴る


違和感だけを感じていた。
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