理系教授の秘密は甘々のはじまり
"葉山と居酒屋"

似合わないというより、私生活は全くの謎だったため、

"そっち寄りなのね"

と波実は素直に受け入れた。

あまり他人に干渉しない代わりに、関心も薄いのが波実の欠点だ。

「教授は何を飲まれますか?」

「ビール。鈴木は?」

「私はお酒は弱いし、明日は口述発表なのでウーロン茶にします。さっき買った本も寝る前に読みたいし」

店員にビールとウーロン茶を注文する。料理はお互いの好きなものを数品ずつ頼んだ。

「鈴木は週末はいつも何をしてる?」

「本屋かお菓子屋さんをウロウロして、その後は自宅でゴロゴロ本を読んでます」

「彼氏は?」

「いるように見えますか?」

「ああ、モテそうだな」

葉山の言葉に驚いて、波実が片手を振る。

「全然ですよ。わたし喪女ですから」

葉山が嬉しそうに

「そうか、それは良かった」

と、呟いた言葉は波実には届かなかった。
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