七色ペンダント
吉田稔麿


目を覚ますと、見慣れない天井と綺麗に整理された庭が目に入った。



雲一つない空を見た瞬間、あの時の出来事がフラッシュバックされた。



早く逃げようと、布団から立ち上がろうとしたその時、部屋へ一人の男が入ってきた。



「目が覚めたか」



「私を元いた場所へ戻してください」



「それは出来ない」



「なぜ」



「君が必要だからさ」



「……あなたは誰ですか」



「吉田稔麿(よしだとしまろ)。君は?」



吉田……稔麿?確か彼は、池田屋で新選組が突入した時には別の場所にいて、戻った時に新選組との斬り合いで討ち死んだはず……。



歴史が、変わった……。



「私は……大島文」

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