35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~
本当に秋野真紀は困った女だ。
俺の果菜に何かあったらどうしてくれる。
ライブ前だというのに頭痛がしてきた。

はあっとため息をつきながらウーロン茶を飲み込むと、「あ、やっぱり世間が反応してる」とスマホをチェックしていた若いやつらが言い出した。

「何だって?」

「SNSで姫たちのこと「きれいな東京のお姉さん」とか「札幌駅前に美女を観に行こう」「今なら美女をナンパできるかも」とかいろいろなつぶやきが出てますね」

ナンパだと?
その言葉に反応して思わずスマホを手に取った俺。

「やめとけ」
俺の手を押さえたのはヒロトだった。

「果菜ちゃんの行動の自由は認めないと。心配なのはわかるけど、対応できないような子じゃない。それに果菜ちゃんと一緒にいるのってアレ秋野の妹だろ。なおさら大丈夫だ。あの子は慣れてるし今回は何かあれば姉の秋野の方が対応するだろ。たまには見守ってやれ」

「何か合ってからじゃ遅いんだ」

「心配はわかる。でも、今すぐに東京に戻れとでもいうつもりか?電話するなら秋野にしておけ。ガードを固めてもらえばいい。果菜ちゃんに言ってむやみに恐怖心を与えなくてもイイだろ?
彼氏に内緒で彼女旅行に来てるんだろ?たまには羽伸ばさせてやれよ」

ヒロトの言う事にも一理ある。
確かにむやみに果菜に不安をあおるのはどうかと思う。

ただ、ヒロトにひと言言いたい。
「果菜は俺の女房で俺は彼氏じゃなくて旦那だ」




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