未来を見るなら、君と一緒に
──コンコンッコンコンッ



なのに、ある日。
いつものあの合図がドアから聞こえたときは、本当に身震いがした。

誰にも言っていないはずの家が、どうしてバレてしまったのか。



「もう、やめて……」



あたしはドア越しに告げた。



「潤がちゃんと俺のことを見ればいいんだよ」


「どうして、ここまでするの……?」


「わからない?潤が好きだからだよ」



そんな言葉に騙されるほどあたしはもう甘くはない。
人の甘い言葉なんて信じられないことを知っている。



「あたしはもう賢晴のこと好きじゃない。お願いだから、お互いのためにももうやめよう?」


「お互いのためってなんだ?自分のためだろ、本当に自分勝手なやつだな」



どっちが自分勝手だよって口から出そうになってやめた。
感情をむき出しにされても困るから。



「いつだって俺はお前のこと、見てるからな」



それだけ言って、賢晴は帰っていった。

正直、本当に怖いと思った。
だから、出かけるのは賢晴が仕事をしてるだろう時間だけ。
土日なんかは家から一歩も出れなかった。

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