未来を見るなら、君と一緒に
こんな理不尽なお願い、通るわけがない。
だから、就職活動にだって踏み込めなかったのもある。



『……なにかあったの?』


「ちょっと……17時までに家に帰らないと……怖いんです」



なんとも歯切れの悪い回答だろうと自分でも思う。



『……なにかあったのね?あたしに話せない?話してくれたらなにか助けてあげられるかもしれないし』



電話の向こうの瑠奈さんはすごく心配そうな顔をしているなが想像できた。
高校の部活が一緒だった、瑠奈さん。
高校の頃からなにかあれば助けてくれる先輩だった。



「前の職場で……」



あたしは瑠奈さん信じることにした。
また誰かを信じることは怖かったけど。
でも、誰かに言って、楽になりたい思いもあった。


だから、すべて話した。
賢晴のこと、前の職場のこと、事務仕事をさせられたこと。
家族にも見放されたこと。
賢晴に毎日見張られている気がすることも。

現に、賢晴が仕事終わりに毎日あたしのアパートの前に来ていることはたしかだった。

< 23 / 176 >

この作品をシェア

pagetop