君を愛で満たしたい~御曹司のとろ甘な溺愛~
電話が切れたあと、止まらなくなった涙を拭うこともせず、頭を抱える。

一ノ瀬さん、私、失敗しちゃいました。
なにが大切なのか、わからなくなっちゃった。

かわいくない女だったんだろうな。
仕事ばかりして、献身的に哲也を支えるなんてことしてこなかった。

だけど私の仕事の成功をいつも喜んでいてくれた彼は、それで満足してくれているんだと思っていた。
私が彼の仕事を応援しているのと同じ気持ちなんだと。

だけど、哲也が求めていた理想の女性像は違ったんだ。


「どうして結婚なんて……」


ただ付き合っていてフラれたのとはわけが違う。
一旦は一生共に生きていくと決意した彼との別れは、私の心を蝕んだ。

もう二度とこんな苦しみを味わいたくない。
もう、失敗したくない。


私はそれから何時間も涙を流し続けた。
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