愛してるのに愛せない。
「みんなのとこに行かなくていいの?」

そう言うと、いいよ、別に。そう言った。

「でも、私といたら、良助くんも迷惑だよね。」

「・・・・。」

「ほら、私のことよく思ってないひともいるし・・・。
ていうか、ほぼ全員・・・。」

コンクリートの地面を見つめながらそう話す。

「・・・・くうを認めない奴らは、まだくうの魅力に気づいてない馬鹿なんだよ。」

「わわ・・・。」

良助くんは、私の頬をぐりぐりしながら話す。

「顔洗って来いよ。オイル付いてる。」

そういわれて、水道まで歩いていく。
良助くんが貸してくれたタオルを首にかけて、顔を洗っていると、誰かから後ろから蹴られて、水道に顔をぶつけた。
余りの痛さに、声も出せずに蹲ってしまった。

「・・・・っ。」

数分経ってもズキンズキンと痛みが引かない。
そっと手をどけて見ると、瞼を少し切っていた。

「・・・・こりゃ痛いわ・・・。」

苦笑いを零し、流水で顔を洗っていると良助くんが来た。

「まだ洗ってんのか・・・。」

あきれた声を出す良助くん。

「だってなかなか落ちない。」

無駄な心配をかけまいと、顔を洗い続ける。

「諦めろ。」

「嫌だ。」

「諦めろ。」

「嫌だ。」

その攻防が続いたら、痺れを切らした良助くんが私の顔をあげさせた。
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