暴走族の姫 Ⅱ
優喜side





俺達、愛哀乱舞の幹部以上のメンバー全員が同時に同じ目的の為に全力で動くことは初めてだった。
















まず、悠の父親である進藤唯と訴訟を起こし、裁判に引きずり出した。
















裁判では、悠や他の子供たちが進藤唯の個人経営していた施設でどの様な環境にいたかなども公にされた。
















証拠の写真や物が晒される度に法廷内に動揺が走ったが、俺達は証人としてやるべきことをするしかなかった。
















あともうひとつの議題、この議題が本題と言ってもいいかもしれない…。















悠を正貴院家、沙羅の家に養子にすることだった。















なぜ俺の家ではなく沙羅の家なのか、それは俺と悠との間にできた子供の為だった。
















俺と悠は例え形だけとはいえ、兄妹ではいけないのだ。















進藤唯の判決は無期懲役、賠償金20億。加えて、進藤唯に悠の養育の資格なしとみなして、正貴院家に養女とすることの許可
















この判決には賠償金を提示した自分も驚いた。















この裁判は新聞やニュースなどで話題となり、この先一ヶ月は抑えがきかなそうだ。
















しかも、この賠償金20億については払えなくとも















それぐらいのことをしたのだと進藤唯に分からせる為に提示したものだったのだが、















進藤唯はあっさりと賠償金を我々に払った。
















この金の行く末は、各病院に行った進藤唯の施設で育った子供たちへの援助に使われる。















このときの裁判で進藤唯は、「はい」としか言わなかった。
















何はともあれ、この裁判で悠は進藤唯の子供ではなくなり、施設で性的虐待などを受けていた子供への援助もできる。















これで、悠に会いに行ける。
















そして、俺が電話した相手は月冴だった。
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