冷酷な王さまは愛し方を知らない


リズを初めて目にしたのは今から半年ほど前のことだ。
立て続いた公務を終え、馬車に乗り王城に帰っていた。


すぐに帰る気になれず、城下をぐるっと回っていた時、こじんまりとした小さな花屋の店先にその姿を見つけた。

太陽みたいなキラキラ輝く笑顔を花に向けていた。
その笑顔に目を惹きつけられた。


花屋に訪れる客にも、その笑顔を向けている。
小柄で突出して綺麗なわけではない。

俺が普段接するような王女たちのような気品もない。


それなのに、何故だかそんなどの女たちよりも目を惹き。
その姿が目に焼き付いて離れなかった。



いったい、あれは誰なのか。
なぜこんなにも気になってしまうのか。



その時、俺には知る由もなかった。



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