冷酷な王さまは愛し方を知らない


それは、信頼してくれているという証のような気がしてとても嬉しい。


「リズの目で見ていいと思うものを選んできてくれたらいいから。花のリストを紙に書いて渡すわね」

「はい!」



仕事を任されるのはとても嬉しい。
張り切って返事をすると、サーシャさんからリストを書いた紙を受け取った。


「でも、十分に気をつけて。そこはよくコールド王国との戦の戦場になっているところだから」

「…はい」

「近くに国境があって、草原が広がっているの。だから、そこが戦場になりやすいのよ」



戦場…。
初めてアルさまと騎士の方々を送り出し迎えたあの日を思い出す。

血だらけで帰ってきたアルさま。
あのときの不安や恐怖心は簡単に思い出される。
忘れられない記憶。


消えない赤。




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