冷酷な王さまは愛し方を知らない


「怖ろしかったです…。あの時のアルさまは、まるで私の知らないアルさまのようで…。なんて、私はアルさまの事あまり知りませんけど…」

「…そうですよね」

「あんな場面は初めてで…。私は、本当に戦の事を何一つわかっていなかった……」



どこか他人事で。
怖ろしい、なくなってほしい。
そう思っていたけれど、その現実がどれほどのものなのか、本当のところはわかっていなかった。

こうして目の当たりにしないと気づけないなんて。
あんな怖ろしい場所に、アルさまは生きているのだと。



「一つだけ…、どうかわかってください。アルさまは、むやみやたらと命を奪いたいわけではありません」

「…」

「アルさまは、あなたを助けたかった…。それは事実なんです」

「…はい」



現に私は助けられた。
私は、生きている。



アルさまがきてくださらなければきっと私はあのまま、好きなようにされ身も心もボロボロになって命も奪われていたかもしれない。



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