冷酷な王さまは愛し方を知らない


「俺の手は、汚れている。たくさんの血を浴びた、血濡れた手だ」

「…アルさま」

「そんな手でお前に触れてしまえば、お前まで汚してしまう気がした」




アルさまはじっと自分の手を見つめながら言う。
どれ程の想いを抱えておられるのか。



「そして、王宮というのは、陰謀やどす黒い感情が渦巻く場所だ。そんなところに、お前を巻き込むことなのだと…」




その言葉を返せば、アルさまはそのような場所で生きておられるのだ。
どれだけの苦悩が。
どれだけの苦痛が。



「だが、お前を求める心を止められない…。なぜだ…?こんな事は、初めてなのだ」

「アルさまを、お慕いしております…。誰よりも、アルさまを」



支えたいと思った。
側にいたいと願った。

きっと届くことのない想いだと。


伝えるべきではない気持ちだと。



「私も、アルさまが好きです」




それでも、想いは溢れた。



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