冷酷な王さまは愛し方を知らない


「最初は、ただの興味本位だと思っていたんです。それでも、他人に興味を抱かれるなど驚きでしたが」

「…クリスさんに、少し聞きました」



私を選ぶおつもりだった。
クリスさんに知らされた事実。



「アルさまのお心は完全な所わかりません。ですから、これからアルさまがあなたをどうされるおつもりなのか…」

「…はい」

「ですが、覚悟なさっていてください。もし、アルさまがあなたを王妃としてお迎えになるとお決めになった時は…」

「…」

「貴方は、アルさまを取り巻く因縁や闇に巻き込まれることになると。決して幸せな未来だけではないという事を…」




それはとても神妙な面持ちで。
きっと、私の身を案じて。

私には王族の事はわからない。
戦のことだって、実際に目の当たりにしてようやくその恐ろしさを身に染みて感じたくらいだもの。


その中に、私が入っていく覚悟があるのか。
アルさまを取り巻く環境がどういうものなのか。



キースさんの言葉は、アルさまが今おられるところがどれほどの場所であるかを暗に示していた。



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