冷酷な王さまは愛し方を知らない
城を後にし、家に向かい歩く。
雪は少しずつ積もり始めていた。
「寒い…」
コートは着てきたけれど、雪が積もると思っていなかったからそこまでの防寒をしてきていない。
それに慌てて飛び出してきたし。
急いで家に帰ろう…。
「ったく、本当に役立たずだね!あんたは!」
近道をしようと普段通らない道を通っていると、怒号が聞こえてきた。
何事かとこっそり通りを覗き込む。
そこには、上等なドレスに身を包む仰け反った女性と、雪の積もりつつある地面に倒れこんだ着古した服の女の人。
「ろくに掃除もできないのかい?ちょっと候補者に選ばれたからっていい気になってんじゃないよ!」
「…す、すみません!」
その声に、その顔に、見覚えがあった。
ミリアさん……。
庶民育ちの候補者だったミリアさん。