冷酷な王さまは愛し方を知らない


ふいに、身体が前のめりに倒れこむ。
アルさまの手が私の腕をひいたのだ。

ポスッとアルさまの腕の中におさまった私の身体。
強く抱きしめられ、息をのんだ。



「…本当に、お前はすごいな」

「え…?」

「お前の言葉は、俺に力をくれる…。そうだなと、納得してしまう」



アルさまの声が震えている。
いつだって強くてたくましいアルさまの弱々しい声。

私はアルさまを支えると決めた。
どんな弱いアルさまだって支えて見せるから。



「アルさま大好きです…。側に置かないなんて悲しいこと、言わないでください」

「ああ…、すまなかった…。お前を責めるようなこと…」

「いいんです。そんなこと…。責めてくれるのはいいんです…」


ただ、突き放そうとはしないで。
私は貴方の側にいたいのです。



「…強くならねばな。もっと…、すべてのものを護れるよう…」

「はい…。私も強くなります」




貴方のためならば。



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