冷酷な王さまは愛し方を知らない




……そう、思っていたのに。




「リズさん。あなたをアルヴィン国王の王妃候補として城に迎え入れます」




突然、働いている花屋に現れた重々しい雰囲気の方々。
その先頭に立って話しているのは、この間の舞踏会でアルさんに声をかけていたキースさん。



「え…?あ、あの…」

「拒否権はございませんので、すぐにでも身支度を済ませ、ご同行願いたい」

「拒否権って…。あの、どうして私なんでしょうか…?」

「まだ貴方は候補でしかありませんし、他にも候補者はいます。嫌でしたらその候補者の中から選ばれないことを願っていてください」




どうして私なの。
その問いには答えてもらえなかった。



「ちょっと待ってよ。拒否権はないなんて、そんな酷い話ある?」

「サーシャさん…」

「国王の決定は絶対ですから」




キースさんは硬い表情でそう言い切った。



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